2012年11月27日火曜日

第2回研究会のお知らせ


一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
文化政策研究会 セミナーシリーズ
2012年度 第2回

11月の研究会では、日本文化政策学会会長で、長年文化政策学の確立に尽力してこられた中川幾郎さんをゲストスピーカーにお招き致します。当日は、中川さんのキャリアを振り返っていただきながら、日本の文化政策学のおかれている現状、課題について議論してゆきたいと思います。

タイトル:「自治体文化政策の基本理論を改めて考える」
日時:11月28日(水)17:00-19:00 ( ←開始時間が通常と異なりますのでご注意下さい)
場所:一橋大学国立東キャンパス マーキュリータワー3406室
ゲストスピーカー:中川幾郎氏(帝塚山大学教授)
(研究会後、ささやかながら懇親会の開催を予定しています)

参考資料:
中川幾郎『分権時代の自治体文化政策』勁草書房2001年
中川幾郎(編著)『指定管理者は今どうなっているのか』水曜社2007年
中川幾郎(編著)『地域自治のしくみと実践』学芸出版社2011年


参加については、飛び入りでも構いませんが、配布物準備のために事前に参加申し込みを頂ければ幸いです。申し込みはculturalpolicysgatgmail.com((at)を@に変えてお送り下さい)までお願い致します。


一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
プロジェクト・ディレクター
青野智子
http://culturalpolicy-sg.blogspot.com/

2012年7月21日土曜日

第1回研究会のお知らせ


一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
文化政策研究会 セミナーシリーズ
2012年度 第1

本年度第1回研究会は、清水裕之さんをゲストにお招きして議論します。清水さんは、日本における公立文化施設の運営・計画研究の第一人者として知られており、これまで公立文化施設に関する多くの論考を発表されておられます。また、施設運営の現場に対しても、市民参加の立場から提言をしてこられました。今回の研究会では、清水さんの1983年の論考を叩き台に、公立文化施設の発達史を踏まえ、約30年後の今日における公立文化施設の社会的意義、政策課題について、改めて議論を深めたいと思います。

「公立文化施設の社会的意義」
ゲストスピーカー:清水裕之氏(建築計画学、名古屋大学教授)
日時:727日(金)17:30-19:30
場所:一橋大学国立東キャンパス マーキュリータワー43406
(研究会後、懇親会の開催を予定しています)

事前配布物:
清水裕之『文化会館の構造転換』1983

参考資料:
清水裕之「公立文化施設の劇場機能とその変遷」日本建築学会編『劇場空間への誘い』2010年所収

参加については、飛び入りでも構いませんが、配布物準備のために事前に参加申し込みを頂ければ幸いです。申し込みはculturalpolicysgatgmail.com((at)を@に変えてお送り下さい)までお願い致します。


一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
プロジェクト・ディレクター
青野智子
http://culturalpolicy-sg.blogspot.com/

2012年1月19日木曜日

第5回研究会のお知らせ

一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
文化政策研究会 セミナーシリーズ
2011年度テーマ:文化政策の前提を問う

5回「文化人類学からみる文化」
ゲストスピーカー:春日直樹氏(一橋大学大学院社会学研究科教授)「国家・市民・社会を2012年にて論じる」

日時:125日(水)17:30-19:30
場所:一橋大学国立東キャンパス マーキュリータワー43406
(今回の研究会では都合により懇親会は行われません)

5回研究会では春日直樹さんをお招きして、文化人類学的観点からみた文化の捉え方について考えることとしたい。春日さんによる文化人類学の学説史の整理によれば、今日文化人類学は特有の対象を失いつつも、他の学問と同類のトピックを独自の研究方法によって分析する分野となってきているという。研究会では、このような文化人類学の動向を踏まえながら、文化の捉え方、またその変容について理解を深めてゆきたい。


参考:
春日直樹「人類学の静かな革命」『現実批判の人類学』所収(世界思想社、2011年)

参加申し込みはculturalpolicysgatgmail.com((at)を@に変えてお送り下さい)までお願い致します。

一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
プロジェクト・ディレクター
青野智子
http://culturalpolicy-sg.blogspot.com/

2011年12月18日日曜日

第4回研究会のお知らせ

一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
文化政策研究会 セミナーシリーズ
2011年度テーマ:文化政策の前提を問う

4回「文化政策の現状を考える1」
ゲストスピーカー:平田オリザ氏(劇作家、大阪大学教授)「ニッポンに文化政策なし」

日時:1228日(水)17:3019:30
場所:一橋大学国立キャンパス(東キャンパス)マーキュリータワー43406

4回研究会では、劇作家、元内閣参与の平田オリザさんをお招きし、これまで文化政策の現場に携わってきた演劇人としての立場からお話を伺い、今後の日本の文化政策に必要な戦略について議論を深めたい。
また、平田さんが『芸術立国論』等において展開してきた、演劇をコミュニケーションツールと解釈し教育現場に導入してゆこうとするアプローチの意義や展望についても議論したい。


一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
プロジェクト・ディレクター
青野智子
http://culturalpolicy-sg.blogspot.com/



*開場準備の関係上、事前申し込みが必要です。*
参加申し込みは、下記のメールアドレスまで。

culturalpolicysgatgmail.com((at)を@に変えてお送り下さい)


今後の予定:
5回地域政策研究会 1221日(水)16:15- 清水康之氏(ライフリンク代表)
4回文化政策研究会 1228日(水)17:30- 平田オリザ氏(劇作家、大阪大学教授)
6回地域政策研究会 118日(水)16:30- 秋山正子氏(訪問看護師、白十字訪問看護ステーション代表)
5回文化政策研究会 125日(水)16:30- 春日直樹氏(人類学、一橋大学教授)
詳細は追ってHP上・メールにてお知らせ致します。
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2011年12月5日月曜日

日本文化政策学会企画フォーラムのお知らせ


来る1216-18日に早稲田大学で開催される日本文化政策学会第5回年次研究大会にて、文化政策研究会が主催するフォーラムが開催されます。フォーラムのみの参加については、参加費無料ですので、ご参加頂ければ幸いです。

また、ご関心に応じて、期間中開催されます日本文化政策学会のラウンドテーブル、分科会、シンポジウム、ポスターセッション等にもご参加頂ければ幸いです。(会員参加費:1,000 円、非学会員:3,000 円、非学会員学部学生:1,000 詳細は日本文化政策学会HP



<企画フォーラム A

文化政策はいかにして可能であるか  〜文化政策学の根拠を問うことからの展望


20111218日(日)13501600
早稲田大学 国際会議場(18号館)3F(会場は当日案内します)


1報告 神林龍(一橋大学経済研究所准教授)
2報告 松宮秀治(元立命館大学文学部教授)
3報告 青野智子(諏訪東京理科大学准教授、一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター・プロジェクトディレクター)
司会 猪飼周平(一橋大学大学院社会学研究科准教授)


 20114月より、一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センターでは、「文化政策研究会」を開催し、文化政策学の理論的基礎を確立するための意見交換の場を提供している。そこにおける主要な問題意識は、文化政策とは何か、文化政策とはいかにして可能であるか、といった政策学の基礎に関わる問いが、従来不足していたのではないかということである。もっとも、現在の文化やそれに対する行政のあり方を前提として、折々に直面する政策的課題について議論するということが、文化政策のなすべきことの全てであるならば、基礎論的な議論をスキップすることに、何の問題もないだろう。だが、文化や文化行政の基盤が固まっておらず、先行きが不透明な現状にあっては、そのような文化政策は、大河に押し流される小舟のような存在になってしまう危険があるといえよう。「文化政策研究会」における上記のような認識に基づき、本フォーラムにおいては、文化政策学の基盤を確立する理論構築への第一歩として、従来、文化政策の主要な根拠とみなされてきた議論を再検討したい。


 第1報告(神林龍)では、従来、文化政策の根拠として受け入れられてきた、ボウモル&ボウエン理論の再検討を行う。ボウモル&ボウエンのPerforming Arts: The Economic Dilemma1966年)は、アメリカにおける舞台芸術団体への公的支援制度の確立に貢献したとされ、現在、内外の文化政策学およびアートマネジメント研究において古典的地位を確立している。しかしながら、その「コスト病」に関する議論については、その理論前提や適用範囲についての理解が不正確なまま、また、実態が理論を支持しているのかに関する検証が不十分なまま、いわば文化芸術への公的支援の理論的根拠として、一人歩きしてきた面がある。第1報告では、この点について論点を整理するとともに、「コスト病」の文化政策の根拠に対する含意を再検討する。


 第2報告(松宮秀治)では、文化政策の根拠のもう一つの柱とみなされてきた「芸術」について再検討を行う。近代ヨーロッパにおける「芸術」とは、単に美的なるものの探求の到達点としてあるのではない。それは、美に関する特権的な権威とそれを再生産する諸制度を携えた社会装置の総称でもある。そのような「芸術」は、ヨーロッパ近代を通じての歴史的文脈の中で発達してきたものであり、また今日においては、衰退しつつあるものでもある。文化政策において「芸術」を取り扱う際にも、このような認識は、前提として踏まえられていなければならない。だが、日本の文化政策の文脈においては、一方では、「芸術」はよきものであるという一種の絶対的な概念として無批判に認められ、また他方では、「文化芸術」といった曖昧な用語法によって、「芸術」の意味を正面から捉えることを回避される傾向にあったようにみえる。文化政策はいかに「芸術」を消化すべきか。第2報告では、この問題を正面から捉えてゆくことを目指して、「芸術」を歴史的観点から振り返ることとする。


 第3報告(青野智子)では、公共政策としての文化政策が成立する条件について論ずる。文化政策の公共性については、これまでも政治哲学や経済学などの立場から論じられてきた。これらはいずれも規範的観点からの文化政策の公共性論であるといえる。これに対して、本報告では、従来の文脈とは異なる視角、すなわち、文化的現象の公共性が社会に認められる条件を実証的に検討するという立場から、この問題を扱う。本報告では、特に演劇に関する興行を取り上げ、アメリカにおいては、演劇興行が、寄付によって支えられる傾向が強い(公共性が社会的に承認されていることを意味する)のに対し、日本ではそのような形での支援が一般に成立しにくい(公共性の社会的承認が弱い)点に着目し、日米における公共性の社会的承認に関する社会構造の差異を論ずることとする。


 このように本フォーラムは、文化政策の学問としての確立を目指すものであるが、アカデミズム内部の議論によってのみ、文化政策学の確立がなし得るものではないことは言うまでもない。それは、研究者、実践家、行政家等を含む多様な人々の積極的な議論の上に構築されるべきものである。本フォーラムをそのような議論の場とすべく、フロアとともに議論する時間をできる限り割きたい。そして、本フォーラムでの議論を通じて、文化政策の基盤に関する問題意識の共有を実現できればと思う。


参考文献

青野智子(2009)「『芸術』でもなく『娯楽』でもなく」演劇映像学2008』第一集
ウィリアム・J・ボウモル&ウィリアム・G・ボウエン(1994)『舞台芸術 芸術と経済のジレンマ』芸団協出版部
松宮秀治(2003)『ミュージアムの思想』白水社
松宮秀治(2008)『芸術崇拝の思想』白水社

2011年11月18日金曜日

第3回研究会のおしらせ

一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
文化政策研究会 セミナーシリーズ
2011年度テーマ:文化政策の前提を問う


第3回「多文化主義と文化政策」
ゲストスピーカー:石山文彦氏(中央大学法学部教授)


日時:11月30日(水)17:30~19:30
場所:一橋大学国立キャンパス(東キャンパス)マーキュリータワー4階3406室

第3回研究会では、石山文彦さんをお招きし、法哲学の観点から文化政策の可能性について考えたい。石山さんには多文化主義と文化政策の比較を通じて、両者のよって立つ基盤についての論考がある。多文化主義によれば、文化とは、個人の自律を可能にし、個人のアイデンティティの重要な構成要素となるものであり、それを政策的に保護すること(=一種の文化政策)が積極的に推奨される。このような多文化主義の「文化政策」が、文化政策学者が通常イメージする文化政策といかなる交点を結ぶのであろうか。研究会ではこの点について、突っ込んだ議論をできればと思う。また、社会・文化・経済への政策的介入を基本的に忌避するリバタリアニズムを文化政策がいかに乗り越えることが可能であるかについても、理解を深めてゆきたい。

一橋大学大学院社会学研究科市民社会研究教育センター
プロジェクト・ディレクター
青野智子
http://culturalpolicy-sg.blogspot.com/

参加申し込みは、下記のメールアドレスまで。
culturalpolicysg(at)gmail.com((at)を@に変えてお送り下さい)

2011年6月27日月曜日

第2回研究会「近代を拓いたいくつかの概念―芸術・文化・歴史」概要

622日(水)に第2回研究会「近代を拓いたいくつかの概念―芸術・文化・歴史」(スピーカー:松宮秀治氏)を開催しました。松宮氏には、現在執筆中の「歴史」「文化」に関する著書の構想に触れる形で、主として西欧における「歴史」概念の成立過程についてお話し頂きました。概念史の重要性に始まり、カントの進歩思想、聖書の原典批判を経て、普遍史の誕生の中に、伝統社会からの脱却としての近代概念の誕生及び近代的歴史観の生成過程を見る、というのがメインの主題でしたが、主題以外にも、名前に対する東西の感覚の相違、一国史観の陥穽、学問の専門性のあり方、そして、鴨長明の奥さんの日記、エカテリーナ女王の楽しみに読んでいた雑誌、ヘーゲル『歴史哲学講義』の翻訳者等々…と話題は多岐にわたりました。続くディスカッションでは、芸術のどの部分が西欧近代の構築物なのか、芸術の自律性とは何か、芸術の自己破壊は何によるものであるのか、また、「芸術」の座の空位となった現代社会において何がそこを占めるべきなのか(或は空位のままでよいのか)といったトピカルな問題にも及び、延長しての二時間半となりました。ライブの松宮氏は著書に劣らぬ博覧強記ぶりを発揮され、留まることを知らぬ知識の奔流にのみ込まれるままに、司会進行におきまして至らぬ点が多くありましたこと、ご容赦頂ければ幸いです。松宮氏は自著で、日本には「ドン・キホーテ」型の人物がいないと述べていましたが(松宮2008, 36)、今回は「ドン・キホーテ」のように「西欧近代」に自ら立ち向かい格闘する氏の姿に接したように思います。